野村、巨額損失

「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」はソロスの言葉だが、「命金には手をつけるな」という格言を守っていれば、つまり余裕資金を投資しているだけであれば命に別状はないはずだ。

さて、証券会社から現金や株式を借りて取引する信用取引というものがある。もちろん担保として保証金が必要だし、金利貸株料も負担し なければならない。信用取引のメリットとして保証金の約3倍の取引が可能だと言われるが、それをお得と感じるか危険と感じるかで生死を分けることになるのかもしれない。

「買いは家まで売りは命まで」という格言がある。売りとは空売りのことだ。証券会社から株式を借りて売る。株価が下落したところで株式を買い戻して証券会社に返却する。下落した金額分が儲けになるというわけだ。

買いの場合、株価はどんなに下落してもマイナスにはならないので、損失は限定されている。「家まで」だ。だが株価の上限は存在しない(1日の値幅制限はあるが)。売りの場合、損失は天文学的な数字になる可能性がある。「命まで」だ。

「買いは家まで」と言っても場合によっては家までではすまない。信用取引では現金だけでなく株式も担保になるが、株価が下落して保証金の価値が証券会社が設定した水準を下回ると保証金の追加(追証)が必要になる。3倍のレバレッジをかけていると命金に手をつけることになるかもしれない。

野村ホールディングスの巨額損失の件だが、「アルケゴスは高レバレッジで知られ、8倍程度のレバレッジをかけていたと推測される」、「保有株下落の損失補填のため200億ドル規模の株を投げ売り」したらしい。

プライムブローカーは単純な信用取引とは話が別なのかもしれないが、それにしても8倍はあかんやろ。

命までということはないだろうとは思うけど、ちょっと気になる。